蓮舫代表記者会見

2016年12月1日(木)13時30分~13時52分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=YVN5tblOjsQ


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○IR推進法案の強引な審議入りについて

【代表】
 まず私からは、「カジノ法案」についてです。
 衆議院内閣委員会がまたもや委員長の職権で立てられました。私達が欠席する中で強引な審議入りが行われたことに、強く抗議を申し上げます。
 特に議員立法において、野党第1党の同意がないままに審議入りしたことは例がありません。極めて異例な状態で審議が進められていることに、何をそんなに急いでいるのか、と憤っております。
 今から2年前、平成26年6月18日の内閣委員会で、この「カジノ法案」、IR法案は一度審議入りをしております。1回だけ審議をしております。まさに通常国会の会期末、日程がない中で極めて異例な形ではありますが、「国家公安委員長は常時出席をして答弁をする」「官房長官・経済財政担当大臣・法務大臣は要求ベースで必ず答弁をする」「地方公聴会を開く」「厚労委員会・法務委員会との連合審査を行う」、この条件を与野党の理事間で確認・合意をして、委員長が了解をして、初めて審議入りをしました。
 国会で、委員会で決められたことが全く無視される形で、議員立法であるにもかかわらず与党が強硬に、いわゆる吊るしをおろし、委員長の職権で委員会が立てられて、法案の審議が強硬に進められて、野党との話し合いを持つ場もなく、採決かという話まで出ているのは極めて納得できません。国会軽視、あまりにも立法府をばかにしている態度だということ。
 加えまして、この「カジノ法案」の中身が国民に理解が得られているのかどうなのかという部分も一つ大きな疑問だということも申し添えておきたいと思います。


■質疑

○IR推進法案の審議について

【NHK・花岡記者】
 IR法案に関連して、今日、部門会議でIR法案の党内議論がスタートというか、初めて行われたと思う。このタイミングで党内議論を始めたということと、今日の党内議論の中では結論は出さずに、今の与党の委員会のやり方に反対だということで意見は一致し、一致して行動していくことが確認されたと思う。もし明日2日に委員会採決が行われた場合には、民進党としてはどのように対応するお考えか。

【代表】
 まず、部門の中でも今回の与党の強引な手法に対していろいろな意見が出たと承知しています。この後NC(次の内閣)が開かれますので、NCの中でも議論させていただこうと思っています。まだ私達の態度というのは決定していません。

【NHK・花岡記者】
 今回、与党がこのIR法案を急ぐ背景には、日本維新との関係で話し合いができていて、この国会中に何とか通すということで話がついているのではないかという指摘もある。こういった与党、特に自民党と日本維新が協力して、このIR法案を今会期中に成立させようという動きについてはどうご覧になっているか。

【代表】
 当たり前のことなのですが、国会は特定の政党のためにだけあるものではありません。まさに国民のためにどうあるべきかという審議の場だと思っています。そこにおいて、この「カジノ法案」は国民のためになるのかどうなのか、その部分は全く無視されて、職権で委員会を開いたとするのであれば、それこそまさに立法府、国民をばかにした話だと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 先ほどの、明日採決された場合の件だが、NCでまた協議してということだったが、今日・明日ということでもう差し迫っている。今日の部門会議では法案の登録もというその前段階でのことだと思うが、賛否、あるいは欠席、あるいは途中退室などいろいろな選択肢があると思うが、現時点で代表の考えはあるか伺いたい。

【代表】
 いずれにせよ、手法として委員会の動かし方、あるいは与野党の丁寧な理事会の持たれ方、あるいは国民に対して「カジノ法案」がなぜ必要なのかという説明の仕方も含めて、全て不十分だと思っています。ですから、法案登録すらできなかったというのが私達の仲間の率直な声です。
 これに対してどう対応していくかは、この後にNCも開いて民主主義的に話し合い決めていこうと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 少し先になるかもしれないが、参院にこの法案が送られて内閣委員会で審議される場合、内閣委員会の委員長は民進党の難波奨二さんだが、審議に応じるのかということも含めて、その際の対応はいかがか。

【代表】
 まず明日の採決すらも到底考えられない状態ですので、その先どうなるかというのは今は想定していません。

【産経新聞・山本記者】
 今日の部門会議の中で、IR法案について議論のタイミングが遅かったのではないかとか、党内議論をしないまま執行部の方が慎重・反対姿勢を示したのはおかしい、といった指摘もあったようだが、このあたりについて、党内手続面と今日の議論のタイミングについて代表はどうお考えか。

【代表】
 手続において、いろいろなご意見をいただいて、見直すべきところがあるのであれば、次から生かしたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 国民のことも言われていた。各種世論調査によると、読売も、2年前にやった朝日も、50%以上が反対している。そういう中で民進党がきちんとした姿勢を示すことがまず大事だと思うが、やはり党内で意見が違っているということは、そういう反対している民意に対してちょっと違うのではないかなという声を多くの人が感じている。それも含めて、実際にこの後の審議、本当にこういう乱暴なやつは数の力で押し切らせないで止めていかなければならないと思うが、その辺の見通し。それと、民意という関係で、民進党としての国民に向けてのメッセージ。どうして一つに「反対」と言えないのか。それと今後の審議の見通しについて伺いたい。

【代表】
 常に民意には敏感でいたいと思っておりますし、NCで対応は決めていきます。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 民進党は与党の3分の1未満の野党第1党で、そこで40人からの議員が推進議連を持っている。結局、与党の横暴というのは民進党のガバナンスというか、国民に向かってこの法案、この中身について賛成なのか反対なのか、よくわからない。「ゆ党」のような野党第1党というところが私は非常に残念だ。ここはやはり新体制が本当にリーダーシップを発揮していただかないと。手続論だけ言っていても、野党第1党の本当のパワーが発揮できないように思うが、その辺はどうご覧になっているか。

【代表】
 党内にいろいろな意見があることを否定はしません。さまざまな考え方を持っている議員が結集して、一つの大きな社会像をつくろうとして私達民進党は成り立っています。
 ただ、今回の場合には、まさに中身以前に、立法府を軽視する手続に対して大きな意見を持っている声が大多数でしたので、そこは重んじました。そこから先の、賛否も含めて、我々の対応はこの後のNCでしっかり協議をして決めていきたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 IRについては公明党も割れているのだと思う。自民党も実は全ての人が賛成しているとは思えない。国民レベルで考えると。ところが、出てきてみると民進党だけが、党内議論を先に置いて議連が立ち上がって、いかにも分裂しているように見える。結果的にそれが、要するに与党からつけ込まれてこういうふうになった、としか見えない。やはり問われているのは野党第1党が大きな与党と戦う時もう少し戦術的に考えないと。公明党なんか全然割れているような感じにはならないわけで、そこはやはり蓮舫さんのリーダーシップに期待したいところだが、やはりあの推進議連というのはおかしいのではないか。手続上も前後してしまったのではないか。

【代表】
 ご懸念を含めた指摘は真摯に受け止めますが、合同部門会議においては割れていません。私達の考え方は一致しています。むしろ我々の中で賛成派がいたり反対派がいると大きく報道される傾向のほうに、私は残念な思いを持っています。
 我々の中が、例えば今の自民党のように全員がイエスマンになっている政党になろうとは、私は思っていません。むしろ反対意見があったり推進意見があったりするほうが健全であって、その中で議論をしてどういう態度を決めていくかという、その途中経過も私は大事にしています。
 結果として遅きに失したというご批判をいただくのであれば、それは真摯に受け止めますが、全員がイエスマンというような状態ではなくて、その上で合同部門会議で意見がまとまってNCに一任されて、国対に一任されていますので、一枚岩だと言い切れると私は思っています。

○党首討論・「提案路線」について

【読売新聞・佐藤記者】
 今月7日に党首討論が行われることが合意された。蓮舫代表として初めての党首討論になると思うが、現時点でどのようなテーマで、どのような姿勢で臨むお考えか。

【代表】
 安倍総理の胸を借りるつもりで、チャレンジをさせていただく姿勢でいつもいたいと思っておりますので、私達の思いをしっかりと代弁して、そして総理のお考えについてお伺いしたいことはしっかり伺う。それに対して、我々の考えと違うものであれば、何が違うのかが主張できる場所にできればいいと思います。

【毎日新聞・樋口記者】
 蓮舫代表は「提案路線」を党全体として掲げて臨んでいると思う。QT(党首討論)も含めて今後もということだと思うが、今日から延長国会に入ったが、一つの節目として、これまでの国会で「提案路線」がうまく実施できたかどうか。そのあたりをどう評価されているのか伺いたい。
 関連で、QTで、例えば今日一部報道であったような教育の無償化の話とか、具体的な提案を総理にするお考えはあるのかお聞きしたい。

【代表】
 まず、この国会において、急ぐ理由がわからないTPPの承認とか、あるいは根本的な解決には何もつながらなかった「年金カット法案」、あるいはなぜ今カジノなのかという「カジノ法案」、つまり急ぐべきものがおざなりにされて、急がなくていいものについては急いでいる。私達はそれは望んでいませんでした。ここにおいては対案というよりも、その急ぐ姿勢について私達はおかしいと指摘しました。
 ただ、社会保障に関しては、これまで何度も、与野党で協議する場所を設けるべきだという提案はずっと行っております。あるいはTPPに対しても、情報公開をした上で、衆参両院で決議をした農産品の重要5項目に対して守られたのか守られていないのか、最低限の情報共有をした上で、進めるかどうなのかを議論しなければいけない。その前提がないままでは議論できないということも主張してきました。
 いろいろな意味で、我々は対案と考え方を持っていますが、まず情報が共有できない。あるいは、対案は聞いてもらえない。あるいは、拙速に審議打ち切りで、職権で立てて委員会を強硬に進めていくという姿勢があるので、なかなか平時において私達の提案・対案となる考え方をお訴えする場所が、国民の皆様方に届きにくいというのを、私もどうしたら届くのだろうかというのは常に考えています。できれば、それはやはり総選挙でしっかり問わせていただきたいものだと思っています。
 QTは、時間が32分という極めて短時間であります。どういう形で「提案型」で対応できるのか、あるいは問題点をしっかり指摘ができるのか、少し時間がありますのでこれから考えたいと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 「提案路線」で、対案という位置づけでの議員立法、基本的には民進党単独で提出していたり、あるいは共産党などとの共同提出の法案、これらが今国会一つも審議入りしていないかと思う。今のお話の中にもあったが、ここまでなぜそういうことになっているのかというお考えと、残りの会期の中で、それでも何とか審議入りしてほしいとお考えか。

【代表】
 この国会に限らず、通常国会において、例えば我々は議員立法を64本出しています。政府が出した56本よりもはるかに多く、しかも中身のあるものを出していると自負しています。ただ、結果としてその法案が審議されるかどうかを決定するのはやはり議運でありますので、そこにおいて私達の数は極めて少数ですので声が小さい。現実的に我々が乗り越えるには高い山があることも事実です。
 だから我々は、「どうせ法案を出しても審議されないのであればつくらなくてもいいや」というところにくみするのではなくて、審議されない、その機会を与えられないかもしれないけれども、「この日本の現状に対してはこの改正が必要だ、議員立法が必要だ」「政府の閣法に対しては、こういう主張を持って議員立法を出しておけば修正で使えるかもしれない」、現実的な対案を出し続けるのは私達の基本軸だと思っています。

○生前退位をめぐる議論について

【時事通信・島矢記者】
 陛下の生前退位について伺いたい。生前退位に関する専門家ヒアリングが昨日で終了したが、このヒアリングについては野田幹事長が「国民世論と乖離している」と批判されている。代表として、このヒアリングをどうご覧になったか。
 また、女性宮家と女系天皇について代表の考えをお聞きしたい。

【代表】
 生前退位に関する有識者会議のヒアリングですが、意見が二分されていたように思いまして、その部分では世論調査の国民の考え方とは開きがあったように思います。有識者の人選がどのように進められたのかなと疑問を感じていることは事実です。
 また、党内では今、皇位検討委員会で、いわゆる前提を置くことなく、ヒアリングをしながら議論を急いでいます。
 いずれにせよ「(天皇の地位は)国民の総意に基く」という以上、最も重要なのは国会の審議だと思っておりますので、政府・与党において、速やかに与野党で審議をする場をセットする動きをとっていただきたいというのが率直なところです。
 また、皇室の問題においては政府におきまして過去2回、女系あるいは女性天皇、あるいは女性宮家というものが審議された前例がありますので、この部分に全くさわらないでいいのかといったら、やはりここもあわせて考えていくものなのかなとは思っています。ただ、時間軸の問題、さまざまなこともありますので、こうした点も含みながら、やはり「国民の総意に基く」という前提で国会での議論をするべきだと私は思っています。

○川内原発再稼働に関する鹿児島県知事の姿勢について

【フリーランス・上出記者】
 三反園鹿児島知事が、川内原発の稼働について、一時は強い反対という姿勢を示したが、案の定というか後退し、事実上容認している。これについて、それこそ民進党の中では原発推進・反対が分かれているので言いづらいかもしれないが、この動きなどについてはどのようにお感じになっているか。

【代表】
 それはあくまでも県の話でありますので、県がどのようにお考えになられるか。あるいは県議会での議論もあるでしょう。まさに知事の手腕が問われているものでありまして、私どもがどうだこうだと言う話ではないと思います。

○政治分野における男女共同参画推進・クオータ制導入の取り組みについて

【毎日新聞・樋口記者】
 先日の会見でも少し出たが、自民党で女性候補者の割合を(男性候補者と)均等にするという制度づくりの検討が進んでいるが、めどが立っていない状況だ。自民党内で、女性の進出に若干ちゅうちょする様子が見られることについて、代表の目にはどう映っているか伺いたい。

【代表】
 古めかしい、の一言です。

○連合との関係について

【NHK・花岡記者】
 連合について伺いたい。今日、幹事長と連合の逢見事務局長が政策要請という形で会談されたが、昨日、民進党より先に、自民党の茂木政調会長と連合の逢見さんが会われて、こちらのほうでも政策要請をされている。今まで連合というと民進党の最大の支持母体という位置づけだったが、その連合と自民党の関係が今近くなっているのではないかという指摘がある。この点、代表はどういうふうにご覧になっているか。

【代表】
 予算編成の時期でありますので、連合がさまざまな政党に対して政策要望をすること自体は、何ら違和感は持っていません。早い・遅いというところで競うものでもないと思っています。
 あわせて先日、連合の神津会長も「連合と民進党は一心同体」と公の場でおっしゃっておられますので、我々の信頼関係が揺らいでいるというものでもありません。