野田佳彦幹事長記者会見
2017年1月16日(月)15時30分~16時10分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=zvA0GNS26sQ
■冒頭発言 ■質疑
- 天皇陛下の退位をめぐる議論について
- 野党連携について
- 衆議院選挙制度改革・区割り改定について
- 東京都議会議員選挙について
- 「働き方改革」について
- オバマ米大統領退任・トランプ次期大統領の言動について
- 陸自空挺団「降下訓練始め」・米陸軍部隊の参加について
- 慰安婦問題に関する日韓合意について
■冒頭発言
○天皇陛下の退位をめぐる議論について
【幹事長】
本日、天皇陛下の退位をめぐる問題についてどうするかということを、衆参の議長・副議長が4人でこれからの段取りについてお話しされ、そして一定の方向性を確認されたと聞いております。詳しくは、おそらく事務局が説明に来るのだろうと思いますが、聞くところによると、19日にもその段取りの、やり方といいますか、今後の審議のあり方についてご説明をいただくような機会があると聞いています。
私ども、既に昨年、長浜博行委員長を中心とする党の皇位検討委員会で議論を重ね、ヒアリングを行い、そして昨年末に常任幹事会でその論点整理を報告・了承を受けているところでございますので、その立ち位置であらためてしっかりと議論していきたいと思いますし、そういう場をつくっていただくことを歓迎したいと思います。
■質疑
○天皇陛下の退位をめぐる議論について
【読売新聞・藤原記者】
19日の協議には、民進党からはどなたが参加されるのか伺いたい。
【幹事長】
聞くところによると、衆参の会派代表と実務者ということでございますので、今日、執行役員会がありますから、そこで執行部として確認したいと思いますが、衆参の会派代表ということになると衆議院では幹事長の私、そして参議院は小川敏夫参議院議員会長、実務者となれば長浜博行皇位検討委員長、こういうことになるだろうと思います。
【読売新聞・藤原記者】
法整備のあり方について、政府が軸に考えている特例法による退位を認めるというやり方と、民進党初め野党4党は(皇室)典範改正が望ましい、そうあるべきだというお考えだと思う。民進党も年末の論点整理の中で詳しく検討の経過と、なぜそういう結論に立っているか、方向は説明されているが、一般の国民の方々がよくよく考えなければいけないテーマだとも思うので、いろいろな理由がある中で、民進党としてはなぜ典範改正であるべきだと考えるのか、あらためてわかりやすく説明をお願いしたい。
【幹事長】
報告書にもまとめてありますが、8月8日の天皇陛下の「おことば」の一番結び、「国民の理解を得られることを、切に願っています」、そういう結びになっております。
やはり皇太子殿下のころから象徴天皇のあり方というものを真剣に考えられ、準備をされ、そして即位されて29年目に入るわけでありますが、全身全霊をもって象徴天皇としてのお務めを果たされてきた。そのお気持ち、覚悟、そういうものを忖度(そんたく)するのは、これからの制度をつくっていく、法改正をしていくに当たって、基本中の基本ではないかと思います。
加えて、「国民の総意に基く」象徴天皇でありますから、国民世論なども踏まえて、別にポピュリズムではありませんが、自然の国民の感情などを踏まえると、天皇の退位、「譲位」と表現している社もありますが、これを認める、実現できるようにするということ。そしてそれは制度論としては、ご自身の特別な事情でああいう形でメッセージを発信されたわけでは決してないと、皇位の安定的な継承を望まれている、その思いでお話しされていると思います。そうすると、法改正するならば特別法ではなくて、これはやはり皇室典範改正ということに落ち着くのが自然ではないかと思います。
有識者会議が23日にどういう論点整理をされてくるかはわかりませんが、我々はそういう思いの中で自分達の考え方、立ち位置を整理させていただきました。
【朝日新聞・松井記者】
19日に各会派の代表者から意見を聞くと、先ほど大島衆議院議長がブリーフィングで発表された。そこで今おっしゃったような考えを民進党として述べるお考えなのかということと、話し合いの進め方については民進党としてどんな考えをお伝えするのかお聞きしたい。
【幹事長】
まず19日は、例えば民進党の考え方を今申し上げましたが、19日に各党が意見を表明するということではないのではないか。
【朝日新聞・松井記者】
各会派の考えを伺う、と議長がおっしゃっていた。
【幹事長】
19日に、ですか。
【朝日新聞・松井記者】
はい。
【幹事長】
これはちょっと錯綜しているので。19日は、議長・副議長は、これからどういうふうに議論を進めていくかという、その段取りについてのご説明をいただくと現時点では聞いています。その日に意見表明をするとは承知していません。
どっちにしろ、機会があればいつでもお話はしますが。
【朝日新聞・松井記者】
日にちは別として、進め方については民進党としてどういう運び方が望ましいと。
【幹事長】
まず19日にお話を聞いてから対応したいと思います。
【朝日新聞・松井記者】
政府・与党は特例法を軸にして考えているわけだが、一方で、皇室典範を改正して恒久的な制度とすべきだという考えを持っている党も複数ある。そういった中で落としどころを見つけていく作業の中で、例えば数年後なりいずれかの段階で典範を改正することを附帯決議に書き込むなど、何らか担保が得られれば特例法を認められるか。
【幹事長】
随分先走った議論ですね。まだ議論していないのですから、落としどころの話をする段階ではありません。我々は自分達の考え方を整理しました。その主張をしっかりさせていただくということです。
【日本経済新聞・根本記者】
最初の質問と関連して、わかりやすく民進党の立場をご説明いただければと思うが、一部報道では、政府の有識者会議の論点整理では、法整備について、特例法での対応と、皇室典範での対応と、その真ん中として皇室典範の附則に退位の根拠規定を置いて特例法で改正するという話も出てきていると思う。皇位検討委員会のまとめでは、その真ん中の案についても否定的な考えが述べられていたが、その案についてはなぜ否定的で、皇室典範改正が望ましいとお考えかという点を伺いたい。
【幹事長】
まだ(有識者会議の)論点整理が正式に出ていない、報道ベースです。現時点では、そこで一つ一つ具体的にコメントする段階ではないと思います。23日に出てくるわけです。その論点整理も、おそらく政府から、議長なり国会への説明があると思いますから、その後にきちっとコメントしたいと思います。
○野党連携について
【フリーランス・上出記者】
共産党の大会が昨日開かれた。これに対して何かお感じになった点があったらお聞きしたいのが1点。
共産党は今度の衆議院選挙で15の「必勝区」を挙げているが、これについても、参議院選挙の時のように最終的に共産党としてはかなり譲るという雰囲気もあるようだが、その辺についての感触は何かおつかみか。この2点について伺いたい。
【幹事長】
最初の点は、「感想」と言われても、他党の大会ですが、「ご盛会でよかったですね。おめでとうございます」ということしか言いようがないです。
15の選挙区を重点区として扱っていることは承知していますが、我々も大事な選挙区はたくさんありますので、これは共産党の考え方としてはそうなのだろうとは思いますが、他党の重点区云々ということは、これも何かとやかく言う話ではありません。我々は我々で、どうしても勝ちたいと思っている選挙区がありますので、しっかりと協議していきたいと思います。
【フリーランス・上出記者】
昨日の共産党大会は、初めて野党の党首があいさつしたが、民進党だけは安住淳代表代行がされ、蓮舫さんは行かなかった。この点についてご説明をお願いしたい。
【幹事長】
役員の中で日程調整をさせていただき、蓮舫代表は既にご予定が入っていたということでありますし、その中で国会対策担当の代表代行であり、また野党との連携も担当されている安住さんが出席することになったということです。
【NHK・山桝記者】
他党のことだ、ということだったが、安住代表代行が出席され、志位委員長もあいさつの中で、野党4党は「安倍政権打倒」を共通の目標としており、打倒した後の政権構想を示す責任がある、とおっしゃっていて、その中で野党連合政権についても言及されている。この点についてはいろいろな場所で、その可能性については野田幹事長は否定されてきていると思うが、またこれがあらためて示されている。この向こう側の意図も含めて、どういうふうにお感じになっているかお聞きしたい。
【幹事長】
意図はわかりません。ただ安倍政権打倒を目指すというところで目的は一致しています。その打倒した後の政権のありようについては、我々は我々の考え方があります。共産党とは違うということです。
【NHK・山桝記者】
先ほども質問があったが、今回、安住代表代行が出席されて、形としては4野党連携がはっきりと目に見える形でアピールされたと思うが、今後の野党連携に向けた弾みという意味で、またどうしていきたいかということで伺いたい。
【幹事長】
去年の暮れに4党幹事長・書記局長会談で確認したとおり、「できる限りの協力」を具体的に進めていくために、今、選挙実務者による選挙区の調整、それから政策実務者による、これは市民連合への回答という形でありますが、政策的な協議、こういうものを進めていくという段階です。その具体的な議論をさらに進めていくということに尽きると思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
昨日の安住さんのあいさつは、現場で大変な拍手喝采を浴びていて、そのあいさつの中身がかなり濃厚というか、中身があるものだったと。これはやはり執行役員会で一任を受けた代表と幹事長と安住さんが、かなり練りに練ってつくった内容だと。安住さんは、1ヵ月くらい考えたとおっしゃっていたように思うが。お立場は別だが、やはりそれなりに肝の据わった内容ではなかったか。その辺を伺いたい。
【幹事長】
今おっしゃったとおりのプロセスを経ていまして、安住さんがもちろん中心で文案をつくられておりますが、その中身については執行役員会で私と蓮舫代表に一任をされておりましたので、原稿の内容については事前に目を通させていただいております。
【「FACTA」・宮嶋記者】
これまで選挙協力ということで言うと、蓮舫さんの言葉で言うと“オーダーメイド作戦”というのか、オーダーメイドでやるのだとおっしゃっていたが、その「オーダーメイド」というのは、いろいろあるということなのだろうが、やはりそこに横串を入れたというのか、野党連携にちょっと弾みがついたということになるのか。そういう認識の内容だから喝采を浴びたと思ったが、年末より一歩踏み込んだと見ていいのか。
【幹事長】
私、現場感覚がないのでわかりません。どういう喝采を浴びたのか、どんな空気だったのかは、この後の執行役員会で安住代行からご報告いただきたいと思います。
【TBS・牧野記者】
先ほど幹事長は野党連携の、共産党の政権構想の話の関連で、「打倒した後の政権のありようについては、我々には我々の考え方がある」とおっしゃっていたが、具体的にどのような政権のありようを今お考えか。
【幹事長】
理念、基本的な政策が違うところと連立政権は組めない、というのは前から言っているとおりであります。
【TBS・牧野記者】
どのような理念で、その政策をつくろうとお考えか。
【幹事長】
それは民進党の理念。
【TBS・牧野記者】
民進党のみで。
【幹事長】
結果によってはいろいろあるかもしれませんが、基本は民進党で政権を目指すということです。
【TBS・牧野記者】
もし数が民進党だけで足りなかった時に、共産党の手をかりることはないか。
【幹事長】
いろいろなシミュレーションはしなければなりませんが、でも、そのシミュレーションの中で範囲になるのも、やはり「理念や基本政策で一致するかどうか」だと思います。
【朝日新聞・松井記者】
共産党との選挙協力について伺いたい。解散・総選挙が今すぐではなくなってきたという雰囲気が永田町で漂っているわけだが、そうなると政策面での4野党のすり合わせ、プラス、各選挙区での具体的な調整、それぞれが若干遅れてくるのではないかという見方も出ている。今現在のスケジュール感、どのように考えているか、それぞれ政策と具体的な選挙区での調整についてお聞きしたい。
【幹事長】
完全に早い段階での解散・総選挙がなくなったとは、まだ言い切れないですよね。ここに集まっている報道各社においても、選挙班を解散したわけではないでしょう、縮小したかもしれませんが。我々も同じ気持ちで、まだ可能性は残っていると思いますから、基本的にはなるべく早く、さっき言ってきた実務が進むように努力するというのが現段階のスタンスであります。
【フリーランス・安積記者】
昨日の共産党大会の安住代表代行の挨拶を聞いていると、少なくとも選挙関係については積極的に協力するというような感じを受けたが、一方で幹事長の話では、選挙は協力するだろうけれども、その先は一緒の道を歩かないというお考えと解せるが、これは有権者にとってすごくわかりにくいと思う。そもそも民進党の支持率は岡田さんの時からあまり上がっていない、片や内閣支持率は、12月に少し落ちたがまた上がってもとに戻っているような状態で、これで、はたして有権者の理解、あり方の理解が得られるのか。選挙の後に何をするのかといったら、もともとの民進党ではないか、もともとの民主党ではないかというような見方で、あまり期待感が出てこないような感じがするが、そういうところについてはどのようにお考えか。
【幹事長】
「できる限りの協力」をするということは言ってきているわけでありますから、それはこれからもやっていくということです。
「できる限りの協力」のプロセスの中で、単なる選挙区の調整だけではなくて、政策的に一致できるものについて、一緒に目指すものについて、これは一致点を探していこうということで、今、市民連合との意見交換などを通じながらその作業をしているわけですから、選挙が終わったら関係がおしまいということではなくて、そこで合意したもの、一致点を見出したものは一緒に実現していくということです。
ただ、先ほど言ったのは、政権はともにしないということであって、共通して一致できる政策については一緒に実現していくということでは、まさにこれからも協力が続くということですので、そこは区別をしてお考えをいただければと思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
年明けに野党の党首がエイエイオーとやって、それを見て一番脅威に思うのは与党だと思うが、それがあると早期解散しちゃったほうがよかったかなと思うかもしれないぐらいだと思うが、逆に言うと次は民進党の党大会があるが、そこに他党の党首級を呼んだりする考えはあるか。儀礼的には十分あると思うが、野田さんとしてはNGか。
【幹事長】
いや、「私としては」ではなくて、ここ最近は他党をお呼びしていないのです。今度、常任幹事会で正式に(大会)実行委員長を決めます。その実行委員長のもとで相談をし、決定していきたいと思います。
【千葉日報・石井記者】
共産党の千葉13区の「必勝区」の候補、斉藤さんが、野党共闘候補になるために野田幹事長の選挙区、つまり千葉4区から13区に移ったというような発言をされた。これについてどのような考えをお持ちか。それと千葉13区は、今幹事長がおっしゃった「勝ちたい選挙区」の中に含まれているのか伺いたい。
【幹事長】
共産党がどうお考えになっているか、これはわかりません。私に何かご配慮いただいたみたいなことを言っていますが、違う人を(千葉4区に)立ててきましたから。だから、どっちがいいのかわかりません。
13区は、昨日私、集会に行ってきましたから。我々もしっかりと候補者を応援していきたいと思います。
○衆議院選挙制度改革・区割り改定について
【フリーランス・宮崎記者】
区割り審に関して伺いたい。区割り審の勧告が出るが、その後、公職選挙法の改正案を衆参で成立させなければいけないわけだが、通常国会中、6月までに国会として当然成立させるのだと思うが、その辺、与党の観測も含めてお考えを伺いたい。
【幹事長】
基本的には、法律が通った、「0増6減」で。それに基づいて、その後の作業は第三者機関に委ねているわけですから、「出てきたから反対」ということでは、これはやはり物事が進まないと思いますから、受け止める方向で議論していくことになるだろうと思います。
【フリーランス・宮崎記者】
遅くとも5月27日には政府が提出して、会期末・6月18日。ひょっとすると何らかちょっとサボタージュしたい議員が自民党の現職の中にいるかもしれないが、それは国会としては成立させるという形でよろしいか。
【幹事長】
そこまではやはり段取りを組んできたわけですから、急にちゃぶ台返しをする話ではないと思います。
○東京都議会議員選挙について
【フリーランス・横田記者】
衆院選の前哨戦といわれる都議選の争点について、蓮舫代表が小池知事との連携も示唆されていたりするが、豊洲の基準値以上の数値を受けて、築地市場問題について民進党としてどういうスタンスで臨んで知事と連携されるのか。
他の争点としては、カジノを含むIRがあると思うが、これについては例えば自民党は日本人入場を禁止していないので、最低でも外国人に制限するところで一致するとか。
あるいはオスプレイ受け入れに関しても、日米地位協定を改定して夜間や低空飛行を禁止するというところで一致するとか。
オスプレイと、カジノを含むIRと、築地問題で、どういうスタンスで臨まれて一致されようとしているのか、三つの政策についてのお考えを伺いたい。
【幹事長】
今、具体的にいろいろおっしゃりましたが、それが都議会議員選挙の争点になるかどうかはわかりませんし、党本部が主導して決めることではない。あくまで都政を担う都議会議員の公認候補達、あるいは都連が決めていくことだと思いますから、私からあまり枠をはめる話ではないと思います。
という前提の上に立ちますが、豊洲(市場の地下水)では驚くべき数値が出てきましたので、今は、何よりもその真相究明に全力を尽くすことと、都議会民進党が百条委員会の設置を主張しています。まずこういうところからきちっと、都議会議員選挙が終わってからではなくて、今からきちっとやるべきことをやりながら、その上で争点になるかどうかを見極めていくというのが、例えば豊洲の問題だったら言えるのではないか。
カジノについては、これはもう都政の問題だけではありませんので、これは逆に言うと党全体として、「カジノ解禁法案」は通りましたが実施法は1年後でありますから、その間にいろいろな議論、争点はいっぱいありますので、その議論はむしろ都議会・都政だけに任せる話ではなくて、我々としても勉強もしながら、いろいろな議論を進めていかなければいけないだろうと思います。
オスプレイなども、まさに国政の問題として捉えていくべきだと思います。
【フリーランス・横田記者】
豊洲の基本的なスタンスについて伺いたいが、豊洲移転ありきなのか。
幹事長のお考えを。
【幹事長】
私は、それを任せているということです。私がそれを飛び越えて何か言う話ではありません。ただ、非常にびっくりする数値ですから、大きな争点になり得るテーマにはなってきているだろうと思います。
○「働き方改革」について
【日本経済新聞・根本記者】
今週から始まる通常国会での大きなテーマの一つに「働き方改革」をめぐる論戦があるかと思うが、民進党のこれまでの、長時間労働規制であるとか同一労働同一賃金であるとか、そういったことへの取り組みも踏まえて、どのようなところを具体的な論点とし見ていらっしゃるか。また、政府の姿勢はどういうところを見極めているかということを、あらためてお考えをお聞きしたい。
【幹事長】
長時間労働規制をする方向性については、安倍総理も言及されていますが、具体的にどうするかということはまだ見えてきていないのですね。労働時間の、例えばいわゆる残業(時間)のキャップをはめるような話については何か伝わってきていますが。既に民進党中心に4党で長時間労働規制法案を提出していますが、そこの肝は、退社してから次に出社するまでのインターバルをどれぐらいとるかではないですか。これはものすごく大事だと思うのです。
一昨年の暮れ、高橋まつりさん、電通の新入社員の方が、クリスマスに命を絶った。クリスマスに。普通、24歳の方にとってはクリスマス・イブからクリスマスなんて一番ハッピーな時かもしれませんね。その時に命を絶った。そこまで追い込まれた。いろいろ記録を見てみると、ずっと会社の中に50数時間いたと、出てきましたよね。50数時間というのは、これではさすがに追い込まれますよ、人は。やはりインターバルは絶対に必要だと思います。
そういうことをきちっと主張して、実効性のある長時間労働規制法をつくっていくことが大事だろうと思います。
○オバマ米大統領退任・トランプ次期大統領の言動について
【読売新聞・藤原記者】
アメリカでトランプ次期大統領が20日に大統領に就任する。選挙後もいろいろな発言や言動が波紋を呼んでいるが、幹事長も(オフィシャルブログの)「かわら版」で、特に外交、ロシアや中東の問題について少し懸念を持っていると書かれていたが、経済を含めて、幹事長としてどういう点に一番リスクがある、危惧を感じているか。日本政府はどう対応していくべきとお考えか。
【幹事長】
「かわら版」には、「損得外交」になりかねないというところを書かせていただきましたが、20日に正式に大統領に就任されるのですが、あらためて民主主義とか自由であるとか法の支配など基本的な価値について、どれぐらい関心があるかちょっとわかりませんが、日米同盟は大事だと思いますが、その議論をちゃんと日米間でやっていくことがまずスタートとして大事ではないかと思います。
その意味で気になるのは、大統領の就任前ですが、例えばツイッターで随分と過激なことを発信し続けていて、それが従来のアメリカの外交方針や通商方針と異なるのではないかということも随分あるのですね。そういうことについては、ちょっと危惧を持たざるを得ません。だって、ツイッターというのは140字ぐらいの、個人的な、非公式な伝達手段でしょう。それでGMとかフォードを評価するのは構いませんが、なんでトヨタまで言われなければいけないのですか。そのことについて、日本政府もしかるべく抗議すべきだと私は思います。
しかも、この間の記者会見では、中国・メキシコと同時に、同盟国である日本が何か貿易赤字の原因みたいに批判されています。これもWTOのルールに基づいて、これはアメリカが主導してきたGATTウルグアイ・ラウンドからのルールでしょう。そういうことに基づいて日本はやってきているのです。こういうこともきちんと、同盟関係でありながらも、言うべき時にはちゃんとタイミングを捉えて言うべきではないかと思います。
その意味では、20日ですが、大統領になってから変わるのかどうかわかりませんが、スタートが大事ではないかと思います。基本のことはちゃんと話していくべきではないかと思います。
【フリーランス・宮崎記者】
オバマ大統領の任期が今週で切れるが、5年前、2012年5月1日、ホワイトハウスの中で日米首脳会談に臨まれたかと思う。その時テレビ映像を見て驚いたのが、頭撮りの時にオバマさんはずっと斜め前を見ていた。野田さんとずっと目を合わせなくて、正式な頭撮りに入ってからは両者前を向いた映像が内閣広報室のホームページにも出ているが。アメリカの大統領ともあろう者が、視線を合わせないで斜めを見ているもので、我が国の総理に非常に失礼ではないかと思ったが、その時の会談ではTPPに関して、自動車・保険に興味があるとオバマさんがおっしゃったと外務省のホームページに載っている。その時の態度に関して何か感想を、覚えていらっしゃるか。
【幹事長】
覚えていません。失礼だったという印象は私にはないです。
○陸自空挺団「降下訓練始め」・米陸軍部隊の参加について
【フリーランス・宮崎記者】
土曜日の第1空挺団の「降下訓練始め」に、初めて在日アメリカ陸軍「グリーンベレー」が参加した。2017年になって、在日米軍が初めて習志野駐屯地・第1空挺団と一緒にやったことは遅きに失したのか、あるいは2017年、平和安全法制、集団的自衛権が近づいてきたなとお考えになるのか。感想を伺いたい。
【幹事長】
初降下には米軍の幹部が毎年来ていました。その自衛隊の初降下の演習を見ながら、いろいろと自衛隊の幹部とのやりとりもしていましたから、その延長線上でついに共同になったのかな、という印象は持ちました。それ以上は特にありません。
○慰安婦問題に関する日韓合意について
【フリーランス・横田記者】
昨日、蓮舫代表は北九州の会見(ぶら下がり取材)で、日韓合意について「約束事が一方的に守られていなかったのではないか」とコメントなさっているが、日韓合意の原文を読むと、「対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」と書いてあるだけであって、「少女像を撤去する」とは一切書いていない。これは明らかに安倍政権も主要メディアも読み違えて拡大解釈していて、「日韓合意」イコール「少女像撤去」だと誤った認識のもとに対応していると思う。それを蓮舫代表も受け売りしているのではないかと思ったが、この辺についてはどうか。
【幹事長】
合意は、文書以外にもその時のやり取りの中で、少女の像については意見交換があったと承知しています。
【フリーランス・横田記者】
「撤去する」とは書いていないのではないか。
【幹事長】
「撤去する」という文章はないかもしれないけれども、政府間のやりとりの中でそういう議論はあったと承知しています。そういうことも含めて、「最終的」「不可逆的」という言葉も使いながら合意をしたということでありますので、そういう基本的な約束は履行すべきではないかということを代表はおっしゃりたかったのではないかと思います。
【フリーランス・横田記者】
その根拠を後で示していただきたいのと、冷静に対応するべきだということも(蓮舫代表は)おっしゃっているので、こういう時はお互いに非難するのではなくて、相手側の気持ち、意見をまず聞くことが重要だと思うが。
【幹事長】
ずっと聞いてきているのではないですか、ある意味。
これからも大事ですよ。丁寧に意見交換をして、冷静さを持たなければいけない。理性的に解決するということはお互いに持たなければいけないと思います。向こうも何か「10億円返せばいい」とかという無責任なことを言う人達が出てきていますよね。お互いにそんなことを言い出したら前進しないと思いますので、頭を冷やす必要はあるとは思いますが、ただ残念ながら少女像の動きもエスカレートしていましたから。やはり韓国はもう少し、ここは反省してもらわなければいけないと私も思います。
【フリーランス・横田記者】
日韓合意について、日本側にも反省する点があるのではないかと。というのは、安倍総理が若手議員時代に暴言を吐いていて、韓国は妓生(キーセン)ハウスがたくさんあって売春が日常化している、元慰安婦が長い間の沈黙を破って名乗り出るのはおかしい、といちゃもんをつけて、しかも元慰安婦をうそつき呼ばわりもしている。富山には慰安所がないから、うそを言っていると言っていたが、富山の軍需工場で働いていた人が長野に行って慰安所にいた事実を取り違えている。こういう安倍総理の暴言も謝罪・反省しないと韓国側も納得しないのではないかと思うが、この発言は阿部知子衆議院議員も国会で2回取り上げているが、この発言についてはどう思われるか。
【幹事長】
安倍総理の前の発言を私は知りませんが、今聞いた範囲では、それはやはり相手の感情を害するような表現があったのではないかと思います。が、それと今回の日韓の合意は、そういうことを言った人かもしれませんが、だけど政府間できちっと詰めた日韓合意ですから、そこまでまた遡った議論に戻るのはおかしいと思います、それ自体が。
大体、この問題はいつもそうなのですが、いつも遡ってしまう。一回合意した後に後退しちゃう。経験があるのですが、GSOMIA、軍事情報包括保護協定。私の政権の時に、(締結予定時刻の)ほんの1時間前にキャンセルになったことがありました。ゴールポストが時折動く、ズルズルと。この繰り返しをやってはいけないんです。
過去に遡って批判し合ったら、これはまた進みません。一回決めたことは、お互いに歯を食い縛って前進させる努力がないといけないのではないかと思います。
別に僕は安倍さんをかばうつもりは全くありませんよ。その繰り返しを日韓はやってきているので。だから、今の議論は賛同できません。安倍さんの発言の中身は問題だと思いますが、だけど日韓合意とそれを結びつける議論はよくないと思います。