衆院本会議で23日、「農業競争力強化支援法案」の趣旨説明・質疑が行われ、民進党の重徳和彦議員が質問に立った。
同法案は、農業の競争力の強化を図るための政府提出法案。
「良質かつ低廉な農業資材の供給」及び「農産物流通等の合理化」の実現を図るため、国が講ずべき施策等を定めるほか、農業資材事業及び農産物流通等事業の事業再編等を促進するための措置を講ずるというもの。
重徳議員は、(1)本法案における「競争力」を考える上での日本農業の「価格競争力」(2)日米交渉への覚悟(3)TPP関連予算の今後(4)本法案と農協の自主改革との関係(5)本法案条文の規定の意義(6)外国資本の参入――等について山本有二農林水産大臣らに質問した。
日米をはじめとした農業分野の国際交渉について、アメリカの通商代表に指名されたライトハイザー氏が、農業分野の市場開放について、日本を第一の標的とする旨の発言をしたことに触れ、来月から始まる日米経済対話などを通じて、日本の農業に強い圧力をかけてくる可能性があると指摘。もし厳しい要求を突きつけられても、体を張って交渉に臨み、守るべきを守るのが、政治の役割ではないかと述べ、大臣の見解をただした。
農業対策予算について、政府から「TPP関連予算はTPPがなくても必要な予算である」との見解が示されていることにも触れ、税金の使い方の説明として「納税者をばかにしている」と指摘。今後の農業対策予算のあり方について見解をただした。
農協の自主改革との関係について、本法案の背景となっている「農業競争力強化プログラム」で、農協に対して「組織体制や人事登用のあり方にまで口を出し、数値目標や計画の策定を半ば強制的に求め、政府与党がその『フォローアップを行う』ことが決められた」と指摘。本法案の本当の目的は、農業競争力強化ではなく、農協をターゲットにした経営介入ではないかとの観点から、本法案の努力義務規定を根拠に、国が農業者や農業団体に対し、何らかの行動を求めることがあるのか見解をただした。
外国資本の参入については、「種子法の廃止法案もすでに提出されており、日本の食料生産の要である稲・麦・大豆の種子生産まで、競争の名の下に安易に外資を含めた民間参入の道を開いていいのか」と指摘した。
「国の責務」として「国内外」の状況を踏まえ合理化を実現するという条文について、(1)欧米の多国籍企業に門戸を広げる意図があるのか(2)外国資本企業が一定のシェアを占めることも想定しているのか、その場合、どのような対応をとるのか――などの点で見解をただした。