衆院決算行政監視委員会で5日、2014・15両年度の決算等の締めくくり総括質疑が行われ、民進党の1番手として今井雅人議員が質問に立ち、学校法人加計学園の問題等を取り上げた。

 冒頭で今井議員は「この問題は国家戦略特区によって岩盤規制にドリルで穴を開けるかどうかだと(安倍総理はいつも説明するが)そういう問題ではない。開け方の問題だ。つまり選定に当たって他にも(京都産業大学から)提案があったにもかかわらず、安倍総理の30年来の親友が運営する加計学園ありきでこの話が進んでいるという疑念があるので、この真偽を確かめなければいけないということだ」と指摘した。

 菅官房長官が「日付も入っていない怪文書」と切り捨てた文書に関して今井議員は、その後、平成28(2016)年9月26日という日付入りの「藤原内閣府審議官との打ち合わせ概要(獣医学部新設)」とする文書(下参照)が出てきて、ここには「平成30(2018)年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること。『できない』という選択肢はなく」と書かれていて、この文書について文部科学省は「確認できなかった」と回答していると説明。そのうえで今井議員は先週2日に提示した民進党独自に入手した9月27日付のメールについて取り上げた。そのメールは藤原内閣府審議官と文部科学省の担当者との獣医学部新設に関する打ち合わせ概要を共有するために文科省内で回覧されたと思われるもので、民進党はこの内容の真偽を文部科学省に問い合わせをしている。

藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)


PDF「藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)


 民進党が文科省に確認を求めたメールには「昨日(26日)の概要を共有します。こなし方については、現在局内で検討中です。よろしくお願いします」と書かれてあり、そこに添付されている貼付ファイルのタイトルは「280926藤原内閣府審議官との打合せ…」と読み取ることができる。今井議員は、まさに平成28年9月26日付の「藤原内閣府審議官との打ち合わせ概要(獣医学部新設)」と書かれたペーパーの内容であると連想させると指摘し、「このメールが本当であるかを確かめることは、会議録が本当にあったかどうかを確かめるうえで非常に重要」だと述べ、文科省に先週末に求めた調査の結果の提示を求めた。

 松野文部科学大臣は「基本的にはメールを含む文書について、出所や入手経緯が明らかになっていない場合にはその存否や内容などの確認の調査を行うことは考えていない。前川氏の会見やご指摘のメール等も改めて調査を行うことは考えていない」旨の答弁を繰り返した。また、今井議員が当該メールの送信先として書かれているメールを共有したと思われる文科省職員の氏名を挙げて省内にいるかただしたのに対しては「同姓同名の職員はいる」などと回答。調査すれば「総理の意向が働いたかどうか」を判断することが容易になる可能性があるにも関わらず、どうあっても隠し通そうとする安倍政権の姿勢が浮き彫りになり、今井議員は「調べる気がない、これが安倍政権の姿勢だ」と断じた。

 今井議員はまた、内閣府側から文部科学省に対して「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などとする圧力があったと読み取れる文書について、文科省内に確かにあったと発言している前川・前事務次官に対し、人格否定とも言えるような個人攻撃を繰り返している菅官房長官の姿勢についても問題視した。菅官房長官が自らの発言が正しく、前川氏の発言は違うと指摘するのであれば、それを明らかにするためにも前川氏が「応じる」としている証人喚問が必要だと指摘し、証人喚問の実施を強く求めた。

PDF「今井雅人議員 衆院決算行政監視委員会配布資料」今井雅人議員衆院決算行政監視委員会配布資料

安倍総理らに質問する今井雅人議員

安倍総理らに質問する今井雅人議員