衆院予算委員会で30日、2017年度補正予算に対する2日目の基本的質疑が行われ、民進党会派の無所属の会を代表して原口一博議員が質問に立ち、(1)年金業務監視委員会の再設置(2)働き方改革(3)核禁止条約署名批准(4)憲法9条の改正(5)リニア工事をめぐる問題(6)株式会社PEZY Computingに係る詐欺事件――について安倍総理らの見解をただした。
原口議員は憲法9条の改正問題に触れ、憲法9条を変えなければ日本国は日本国民を守ることができないのかを安倍総理に問うと、「日本の平和と安全を担っている自衛隊の存在自体をしっかりと憲法に明記するべきであろうと考えている」と安倍総理は憲法への自衛隊明記の考え方を答弁。
さらに原口議員は、自衛隊を憲法に明記した際に自衛隊はフルスペックの集団的自衛権の行使ができるようになるのか安倍総理を追及。安倍総理は9条2項を残すことが自身の考えであり、自身の答弁が自民党を代表する考えではないことを前置きしたうえで、「必要最小限度の実力行使という中においてはいわばフルスペックの集団的自衛権の行使は認められないのではないかと考えている」と考えを明らかにした。
原口議員は、「自衛隊については戦力に当たらないゆえに合憲であると、こういう枠組みを私たちはずっと守ってきた。やはり憲法9条が、この70数年日本と世界に与えた役割は大きい。そのことを踏まえた議論をしていきたい」と語った。
午後の締めくくり質疑にも立った原口議員は、学校法人森友学園の国有地売却問題等について質疑した。原口議員は、国有地を森友学園に売却するに際し、財務省の2人の担当者や工事関係者、森友学園の代理人の弁護士と思われる人物が打ち合わせした内容が「(衆院予算委員会の)理事会で明らかにされた」と説明し、その打ち合わせの内容を読み上げた原口議員は財務省担当者が森友学園が望む価格で売却できるように「自分でストーリーを作っている」と指摘。打ち合わせに出ている財務省担当者の2人の名前を明らかにするように財務大臣に質疑したところ、麻生財務大臣は、「イケダとミヨシという名前というのは私どもの耳に入っているが確認が取れているわけではない」と明確な答弁を避けた。原口議員は理事会で明らかにされているにも関わらず不明瞭な答弁をする麻生大臣に対して「納得いかない」と憤ったが、質疑の時間は終了した。
質疑終局後、原口議員は、2017年度補正予算に対して、「具体的な計画もなく、緊要性が認めがたい事業が多数計上されている」こと等を理由に反対する討論を行ったが、賛成多数で補正予算は可決した。
補正予算は夕方開かれた衆院本会議に緊急上程され、無所属の会からは福田昭夫議員が反対討論を行った。しかし、補正予算は賛成多数で可決され、参院に送付され31日から審議されることになった。