衆院予算委員会で14日、外交・安全保障等をテーマに集中審議が行われ、民進党会派の無所属の会の原口一博議員は(1)FMS(対外有償軍事援助)調達の現状(2)佐賀県神埼市で起きた陸上自衛隊攻撃ヘリ「AH64D」機墜落事故――等の問題について取り上げた。

 冒頭で原口議員は自衛隊ヘリの墜落事故について「二度とこのような事故を起こさないという観点から質問する」と表明。会計検査院の「平成28年度決算検査報告」によれば米国から調達した防衛装備品に対し、不具合報告書を送付していたケースが107件2276億6211万余円に上ることにふれ、「自衛隊にはこうした不具合との戦いをさせているのではないか」と安倍内閣の対応を批判した。また、FMS調達で納品記載内容が違うなどの混乱案件が671億円にも上ることも問題視した。原口議員は「番号が合わななければ、本当にそのものかどうかわからない」と述べ、安倍内閣になってからFMS調達が著しく増加していることも指摘し、代金を支払っても物が届かない未清算件数も多々あることも踏まえ、米国に対し強い態度で苦言を呈するよう安倍総理に求めるとともに、国会閉会後に米国で現地調査を行う予定だとも表明。「このようなアンフェアな状況を続けていたら日米同盟も危うくなる」と指摘した。

 原口議員はまた、今回事故にあった陸上自衛隊攻撃ヘリ「AH64D」機について、国内ライセンス生産で62機購入予定だったが、調達経費が高額になったことと米国・ボーイング社が生産打ち切りを通告したことから13機で調達打ち止めとなったことに言及。今回墜落したのは2002年に調達した初号機で、この時点では1機60億円だったのが06年には105億円となったことを指摘し、「まさにいいようにやられている。このような事態を変えなければいえない。こうしたことが現場に多くのしわ寄せを与えているのではないか」との見方を示した。

 原口議員はさらに、同一機種によって米国で起きた2つの事故実態に関して日本に十分な伝達がなされていないことも問題視し、事故回避のためには十分な情報共有が不可欠との認識を示した。「技術料を支払っているのに十分な情報が伝わっていなかった。熟練したパイロットでもどうにもならない事故だった。こんなことを二度と起こさないことが自衛隊を守ることだ。憲法に自衛隊を明記するものひとつの案だが、しかし2千億円を超える不具合の品を自衛隊員に持たせて、それで本当に自衛隊を大切にしていると言えるのか。トランプ大統領は日本にさらに武器を買うように言っているようだが、トランプ大統領に『日本はあなたの財布ではない』と言いたい。私たちは独立した国家、米国側のずさんな管理によって現場はたいへん苦労している」と述べ、米国に直言するよう安倍総理に求めたが、前向きな答弁は示されなかった。

PDF「衆院予算委原口一博議員配付資料」衆院予算委原口一博議員配付資料