岡田克也「無所属の会」代表記者会見
2018年3月13日(火)15時01分~15時29分
編集・発行/民進党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=RgSkEWDV248
■冒頭発言 ■質疑
- 森友決裁文書改ざん問題について(1)
- 北朝鮮情勢 南北首脳会談・米朝首脳会談に向けた動きについて
- 「18歳成人」民法改正案の対応について
- 3.11から7年に当たって
- 森友決裁文書改ざん問題について(2)
- 本日の執行役員会について
- 森友決裁文書改ざん問題について(3)
- 女性宮家創設に関する議論について(1)
- 森友決裁文書改ざん問題について(4)
- 女性宮家創設に関する議論について(2)
■冒頭発言
○森友決裁文書改ざん問題について
【「無所属の会」代表】
国会のほうは、ご案内のとおりの状況です。これは多くの野党の代表者がお話しになっていることですが、問題は立法府対行政府の話。行政府が提出した資料が改ざんされていた、勝手に書き換えられていたという問題で、そういう意味では私は自民党・公明党の議員の皆さんにも危機感を共有してもらいたいと思っています。
こういうことは前代未聞でありますが、国民の議会制民主主義に対する信頼、その根幹が今揺れているという認識に立って、何とか事実解明をしなければいけない問題だと思っております。そのために、しっかりと与党の皆さんも努力をしていただきたいと考えております。国会で審議すべきだという議論もありますが、その前に、まずそこのところのけじめを明確につけて、その上で国会でしっかり議論したらいいと考えております。
安倍総理もよくわからない対応で、まるで第三者のように、「なぜこんなことが起きたのかよくわからない」というふうに言われていますが、安倍総理こそが問われているわけです。夫人の名前も消されていたことが明らかになったわけであります。みずから率先してあらゆる文書を表に出して、そして事実関係を明確にする。「理財局の一部が勝手にやった」みたいな、誰も信じられないような話を繰り返すのではなく、それこそ真摯に正面からこの問題に取り組む責任がある。そうでないと国民の信頼は戻らないと考えております。
財務省も、「役所の中の役所」と言われた財務省ですから、それが今これだけ国民の信頼を失っている。なぜそうなったのかということについて、事務方も本当のことをしっかりと述べてもらいたいと思っております。
いずれにしても、そういった今の状態を打開するための新たな提案が政府あるいは与党の側からなされない限り、国会を動かすのは容易ではない。そのことは申し上げておきたいと思います。
○北朝鮮情勢 南北首脳会談・米朝首脳会談に向けた動きについて
【「無所属の会」代表】
北朝鮮の問題は、ブログにも書いておきましたのでごらんいただいた方も多いと思いますが、北朝鮮が用意周到に進めてきた話ではないかと、そういう感が非常にいたします。最後、アメリカのトランプ大統領が首脳会談を開催するということについて「ノー」と言えないような状況を見透かして仕掛けてきた話ではないかと思います。
しかし、今までのように対立だけの構図から、最終的に結果がどうなるかは別にして、首脳間で話ができる状況になりつつあることは決して悪いことではない。問題は、その中身がしっかりとした会談になるようにこれから準備をしていかなければいけないということだと思います。
もちろんアメリカも韓国もそれぞれチームを組んでそういった作業に入られる、北との事務的な交渉も行われると思いますが、そこに日本がどうかむかということが非常に重要で、日本には日本の国益がありますし、拉致問題もあります。したがって、今までは残念ながら蚊帳の外だったのではないかと想像されますが、これからは日米韓でしっかりと協力しながら、南北首脳会談、そして米朝首脳会談、しっかりと前進できるように進めていかなければならないと思っております。
■質疑
○森友決裁文書改ざん問題について(1)
【「フランス10」・及川記者】
今回の森友文書改ざんについて、麻生財務大臣の辞任を求めるのか、安倍内閣の総辞職を求めるのか、安倍晋三衆議院議員の議員辞職まで求めるのか。この3点全部か、あるいはどれなのか伺いたい。
【「無所属の会」代表】
どこまで求めるかというのは、これは今、野党6党で幹事長・書記局長会談も行って進めている話ですので、私が自分の意見をここで申し上げることは差し控えたいと思います。
まず事実関係を明確にすることが先で、別に首を取りにいくことが目的ではない。まず事実関係を明らかにするということだと思っています。
【フリーランス・宮崎記者】
「首を取りにいくのが目的ではない」という発言に関しては、野党6党の幹部の間でひょっとすると今の時点で若干違いがあるかもしれないので、もう少し詳しくご説明いただきたい。
【「無所属の会」代表】
まず事実関係を明確にすることが重要で、その結果として「これは責任を問われる」ということが明確になれば、そのときにはそういう行動も必要になる。まだそこまで話が煮詰まっていない。そういう状況であると思っています。
【フリーランス・上出記者】
きのうの野党6党の合同ヒアリングで、「これは内閣総辞職に値する」「当然麻生大臣は辞任」ということを各党の皆さん明確におっしゃっていたが、まだ野党の中ではそういう意思統一がされていないというご認識で今のような発言になっているのか伺いたい。
【「無所属の会」代表】
昨日の6党の幹事長・書記局長会談でもそういう確認はなされてないと私は理解しています。
決して後ろ向きではないのですが、ただ、やはりこれは6党でやっていることですから、きちっと6党でしかるべきレベルで確認して、その上で歩調を合わせて進めていくべき問題であって、各自がそれぞれいろいろなことを言うのは自由ですが、私の立場でそういうことは申し上げないということです。
【フリーランス・宮崎記者】
もちろん改ざん自体は言語道断だが、その上で、なぜあれは黒塗りで出さなかったのかと、きのう報告書で感じた。ほかの省、例えば防衛省とかだったらもう全部黒塗りで出すということもある。例えば安倍昭恵夫人などは情報公開・公文書管理・個人情報保護法からすれば私人なので全部黒塗りでもおそらく問題ないと思う。その辺で、なぜ黒塗りにしないのか。基本的に理財局のメンバーが情報公開法や公文書管理法の理解が若干不足しているのではないかと思ったが、いかがか。
【「無所属の会」代表】
そういうことはないと思います。
ですから、(去年国会に提出された文書と)全然変わらないものを一旦は出して、それではもたなくなったわけですから、中途半端な対応は許されないということだと思います。
あとは想像ですが、検察のほうはコピーを出してもいいという意向があったのかもしれません。そうすると全部出されてしまうということですから、いずれにしろ、もう黒塗りとかそういう次元の問題ではなくなったと。
逆に言うと、検察の話でなければ、この問題は永久に闇の中で終わって、もう否定して終わってしまっていたかもしれない。そういう問題ではないかというふうに想像はしています。
【「FACTA」・宮嶋記者】
岡田先生は経産省出身で、先ほどの「前代未聞のことだ」というのをどう分解され考えられるか。産経新聞などは、「財務省は『組織防衛』という観点のみで動いた。忖度(そんたく)どころか『政権を守ろう』という思いさえ感じられない」という書き方をしているが、この言説でいけば全ては財務省の組織防衛となる。そんなことが官僚出身の岡田さんには考えられるか。この「前代未聞」というところをどうごらんになるか伺いたい。
【「無所属の会」代表】
単なる組織防衛だったら、こんなことする必要はなかったと思うのです。だから、今、「財務省の事務方が組織防衛に走った」とか、あるいはもっと狭く、「理財局の一部がやったことだ」とか、そういうふうに問題を矮小化しようとする見方があることは非常に残念だと私は思っています。
基本的に、官僚が、国家公務員が一旦決裁したものを違えて出すということは、私の常識では考えられないことです。それが起こったということは、もちろん忖度したという可能性もありますが、別の大きな力が働いたという可能性もあるということだと思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
「吏道廃れて国滅ぶ」という言葉がある。まさに公務員になるときに「全体の奉仕者」と宣誓するわけだが、そこのところがどうも「政権の奉仕者」になっていると。私などはそういう見方で見るが、誰のためにこんなことを大蔵省がやるのかというのは、その辺はどうごらんになるか。吏道が廃れたという面では、どうごらんになるか。
【「無所属の会」代表】
もちろん大臣であったり、官邸であったり、それは上司にも当たるわけですから、その意向というのも考えながらやらなければいけないという面があることは事実だと思います。
ただし、やはり国民のための公務員ですから、公僕ですから、国民に対して説明できないようなこと、特に今回のような書き換えとか、うそとか、そういうことはしないということが役員としての当然の道であって、それを踏み外してしまったというのはよほどのことがあるのだろうなと思っています。
そういうことも、やはり佐川さんを国会に呼んで証言をしてもらわないと、本当のところは出てこないと考えています。それを拒む与党というのは一体何なんだろうかと思います。
【ニッポン放送・山本記者】
きょう経済同友会の小林代表幹事が会見を行い、この問題についていろいろと意見を述べられた。確かに事実解明を急ぐことが国民への義務であるし、国民の利益を守ることにもなるが、国会が全く空転してしまっていることで、大事な法案等の審議がストップしたり、いろいろと支障も出るのではないかと。これを同時並行的にやる方法はないのだろうかと。与党・野党の皆さんともにと、そういう思いを述べられていたが、そういった点についてはいかがか。
【「無所属の会」代表】
空転している責任は一方的に与党・政府にあると思います。きちんと最低限の責任を果たせば、それは空転は止まるわけですから。
【共同通信・小野塚記者】
先ほど国会審議に関してけじめをつけるべきだと。審議環境をつくれという意味でおっしゃっていると思うが、この場合の「けじめ」というのは与野党どういったことをするべきだとお考えか。
【「無所属の会」代表】
それは昨日6党幹事長・書記局長会談もやりました。そのレベルで議論することであって、各人がばらばらに「ああだ」「こうだ」と言う話ではないと思います。
【フリーランス・宮崎記者】
先ほどの発言の確認だが、「佐川さんを国会に呼んで証言をしてもらわないといけない」ということだが、安倍昭恵夫人はいかがか。
【「無所属の会」代表】
それは6党で統一して行う話であって、個々に言い出して「これがどうだ」「これは構わない」、そういうことを私は言うつもりはありません。
○北朝鮮情勢 南北首脳会談・米朝首脳会談に向けた動きについて
【「フランス10」・及川記者】
岡田さんは外務大臣だったわけだが、北朝鮮・金正恩(キム・ジョンウン)さんと、トランプさんが会談するということだが、日本政府として拉致問題あるいは北朝鮮の非核化のためにどのように外交を進めていくべきだとお考えか。
【「無所属の会」代表】
先ほども言いましたように、南北首脳会談もあれば米朝首脳会談もあります。そこで何を言うかということについて、日本もしっかりと関与して、そのチームの一員として参加していかなければならない。
全く日本が関与しないところでそういった首脳会談が行われるということは避ける。これが一番大事なことだと思います。
○「18歳成人」民法改正案の対応について
【時事通信・小松記者】
政府が本日の閣議で、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案を決定したが、これに対する賛否も含めてお考えをお聞きしたい。
【「無所属の会」代表】
私の記憶では、まだ党としての見解を出していないのではないでしょうか。個人的な意見を言うことは避けたいと思います。
○3.11から7年に当たって
【「フランス10」・及川記者】
おとといで東日本大震災から7年になったが、その受けとめを伺いたい。
【「無所属の会」代表】
私も総選挙前は民進党東日本大震災復旧・復興推進本部長をやっており、特に福島の沿岸部の各首長の皆さんのお話など、かなり丹念に聞いてまいりました。
いろいろなハードはかなりできてきたとは思いますが、被災3県を見たときに、やはり福島は宮城や岩手と比べると相当な遅れが見られる。まだ復興のスタート台にも立っていないところがあるということです。原発事故を中心としたことによって、ふるさとに帰れない、あるいは家族がばらならになっている、いろいろな不安を抱えて心配している。そういう方々がたくさんいるということは、これは今日においても変わっておりませんので、しっかりとした対応が政治として求められていると思います。
それから、安倍総理が、「民主党政権時代はこんなに遅れたが、自民党になってこんなに進んだ」ということをよく国会で言われましたが、私は本当にそういう話を聞くたびに、「これ、まともな政治家、総理の言う話なのかな」と思っておりました。
ここまでようやく来たこと、例えば高台への移転などがそれなりに進んで多くの方がより安全なところに生活しておられるということを見ると感慨深いものがありますが、それは別に安倍政権になって急にやった話ではなくて、やはり1年、2年の地元住民の皆さんの話し合い、それが集約されて、その上での高台移転ということで、ステップを踏みながらやってきた。つまり、今までの一つ一つの積み重ねの上で今日があるということです。
「民主党の時はもう全くだめで、自分が総理になったらこれだけやったよ」なんていう、そういう恥ずかしい話はもうやめてもらいたいと考えています。
○森友決裁文書改ざん問題について(2)
【フリーランス・上出記者】
森友学園問題だが、出口がまだ野党で話し合われていないということで踏み込んだ発言をされていない。数の力でいくと圧倒的に自民党が強いわけで、もうそのまま居座ろうと思えば居座れないこともないが、世論調査でも世論は政府に対して批判していると思う。個人的な見方でも結構だが、何が一番これを打開していけるポイントになるのか、どういうことを野党はしていかなければならないのか。この辺について、もう少し踏み込んで伺いたい。
【「無所属の会」代表】
野党がすべきは、国民の声を引き出していくということだと思います。こういうことは絶対許されない、民主主義の根幹にかかわる話であるということを国民の皆さんにもぜひ認識していただいて、共有していただいて、声を上げていただくということだと思います。
同時に、先ほど言いましたように与党も、政治家であれば、今これだけのことが行われている。つまり、国会に提出された資料が改ざんされていたという重い現実をどう考えるのかということを、一人ひとりの与党議員にも考えてもらいたいと思っています。
○本日の執行役員会について
【共同通信・小野塚記者】
きょう昼間に役員会があったかと思うが、そこで何か確認されたことがあれば教えていただきたい。
【「無所属の会」代表】
特に確認されたことはありません。
ただ、規約上、国会に関することは執行役員会が所管、執行役員会で決めることになっております。先週末からきのうまで執行役員会が開かれておりませんでした。したがって私のほうから代表に、そろそろ開いたほうがいいのではないかと。情報は、私の場合ですと平野博文国対委員長から随時報告は受けていましたが、やはり党としての対応を決めるのは執行役員会の場なので、そこで一度議論したほうがいいと、けさ申し上げて、急遽執行役員会が開催されたと。
開催されて非常によかったと思います。やはり衆参での認識というか、若干の意見の違いとか、もちろん個々人にもあります。現場と執行部ではまた違ったりします。そういうものが集約されて、一枚岩でしっかりやっていこうということが確認されたということはよかったと思います。
これからも随時、執行役員会を開いて、大きな方針についてはそこでの決定に基づいて進んでいくと。
もちろん1党だけでは、今やこれはできない話なので、野党6党、場合によっては3党、そういう形で進めていくことになりますが、参議院においては野党第1党である我が党が非常に重要ですので、党の中で意見の違いがないようにしっかりとまとめて進めていく必要があると思います。
○森友決裁文書改ざん問題について(3)
【「FACTA」・宮嶋記者】
安倍総理はこの問題について、麻生さんに真相究明をと。しかしながら、この方は5年もやっていて、その間のガバナンス、任命責任。普通の会社の常識で考えたら、この人が真相究明に当たる資格があるのかどうかが問われると思う。やめる、やめないは別にして、この真相問題を究明するのに麻生さんが適任と思われるか伺いたい。
【「無所属の会」代表】
責任をとらなければいけないかもしれない人に調べさせるということは、もともとやる気がないのだと思われても仕方がないと思います。
しかも、そういう改ざんの事実をいつ知ったのかと(記者会見で記者から)言われて、聞いていましたよね、秘書官か何かに。結局言った日付というのは、その前日の日付を言った。それなら「前日」「きのう」とか言いますよね。相当疑わしい。前から知っていたが、とっさにどういうふうに答えるべきか出てこなかったと。
そういう責任をとらなければいけないかもしれない人が調べるというのは、そもそもそのことが、真相究明しようという気がないということを表していると思います。
○女性宮家創設に関する議論について(1)
【「フランス10」・及川記者】
眞子内親王殿下の婚約延期で、また女性宮家あるいは女性天皇ということが議論されている。岡田さんの個人的見解で構わないので、女性宮家や女性天皇に賛成か反対か、その理由を伺いたい。
【「無所属の会」代表】
これは私の代表質問を見ていただければ。私は代表質問で取り上げていますので、そこで明確に申し上げています。
女性天皇や女系天皇の話は横に置いて。これを安倍政権で議論してもまともな結論にはなりませんので、個人的に私は女性天皇・女系天皇に賛成ですが、その話は横に置いて、女性宮家ということで切り離して早急に議論すべきである。国会で議論することについて何か政府として異論はあるか、という趣旨の質問をしたところ、総理からは、それは国会がやることについて政府として何か言うことはない、というふうに答弁されています。
平野国対委員長にも、これまで野党間でしっかり認識を共有して、女性宮家の問題をご退位の時と同じようなスキームで、議長・副議長が中心になって、各党代表が集って、議論をなるべく早く始めるべきではないかと、そういうふうに申し上げているところです。
○森友決裁文書改ざん問題について(4)
【日本テレビ・清田記者】
他社の報道で大変恐縮だが、読売新聞さんのきょうの夕刊で、自殺したとみられる近畿財務局の職員の方のメモが見つかったと。そのメモの内容は、財務省本省の指示で文書を書き換えさせられたと。そういうメモが見つかったと読売新聞さんが報じているが、受けとめをお願いしたい。
【「無所属の会」代表】
ちょっと事実関係を確認できませんので、今即答することは避けたいと思います。
いずれにしても、そのメモについて、ご遺族の意向もあると思いますが、これだけの事案なので公にすると、これはご遺族がそういうふうに言われればこれを公にできるわけだと思いますが、その上で、公になったところでコメントしたいと思います。
○女性宮家創設に関する議論について(2)
【時事通信・小松記者】
先ほど女性宮家賛成というふうにおっしゃったが、これは党または「無所属の会」の見解か伺いたい。
【「無所属の会」代表】
「女性宮家賛成」と言ったのではなくて、女性・女系天皇については個人的には賛成であると申し上げました。しかし、それを切り離して女性宮家の問題を議論すべきであるということです。
野田政権の時に女性宮家について内閣として議論し、有識者から二つの道が示されたわけですが、そういう経緯はあります。
そのことも含めて早急に対応していくべきだと思います。私は賛成です。