党役員会見に関する基本的な方針について

岡田克也「無所属の会」代表記者会見

2018年4月10日(火)15時45分~16時13分
編集・発行/民進党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=8CqrzDlfiTQ


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○加計「首相案件」報道・自衛隊日報問題について

【「無所属の会」代表】
 私からは、きょうの朝日新聞の報道、加計学園について愛媛県の文書が明らかになり、その文書によれば、首相秘書官が「首相案件」だと述べたと、その文書の中にはあるということであります。
 詳細は知事の会見を待ってお話ししたほうがいいと思いますが、これが事実であれば、首相秘書官が「首相案件」だと言っておられたということは、それは全く、「2017年1月の国家戦略特区諮問会議で初めて加計学園だと知った」という総理の話自身が極めて疑わしくなるわけでありまして、しっかりと真実を述べてもらいたいと思っております。
 いずれにしても文書をめぐる問題があちこち出てきているということは、加計にしても森友にしても、これらは「首相案件」であります。
 そして自衛隊の日報の話は、これは私の感じだと、果たして当時防衛大臣がきちんと指示をしたのかと。支持をしたと受け取ったという話もありますが、あれだけ国会で、あるのかないのか問題にされていた案件について、それがあるのかないのかきちんと調べろということであれば、本来であれば、国会の毎日のレクの合間に「本当にないのか」と単に問うということではなくて、事務方トップである次官や統幕議長を呼んで「徹底的に、省の名誉にかけて調べろ」と命令を発するのが本来ではないかと思います。そうすれば、もう逃げる余地なく調べなければいけないわけであります。
 それを「本当にないのか」と言われると、大臣が本気で調べろと言っているのか、それとも適当に、つまり出てくればそれは大臣も含めて大きなダメージをこうむるわけですから、適当に済ませろというふうに受け取られかねない。そういうあいまいな物言いというのはトップとしてのリーダーシップを完全に発揮していない。そこが問題の根源ではないか。
 「陸自が悪い」、もちろん悪いわけですが、陸自に結果的に責任を押しつけているけれども、一番の問題はやはり大臣のリーダーシップ(の欠如)ではないかと、そんなふうに思います。
 あす予算委員会の集中審議がありますが、これだけ案件があると、とてもそれでは足りないということで、集中審議を引き続きしっかりと行って、それぞれについてけりをつけていかないと、民主主義の根幹が揺らぐ、そういう事態は是正されないと思っています。


■質疑

○加計「首相案件」報道について

【朝日新聞・山岸記者】
 柳瀬前総理秘書官の関与が問題になっているが、おそらく代表は個人的にも柳瀬さんのことを以前から、役所時代から含めてご存じだと思うが、「首相案件」といった言葉は柳瀬さんがおっしゃりそうなことなのか、あるいは逆に違和感を覚えるようなものか。非常にきつい言葉なので、こういったものはどういう文脈で語られ得るものなのか。その辺はどうごらんになっているか。

【「無所属の会」代表】
 私、柳瀬さんと一緒に仕事したことはないので、顔は知っている程度で、それほど言葉を交わしたことも、たぶん現役の官僚時代もないと思います。顔は知っていました。
 今回の件は、本人は否定しておられる。会ったことも記憶にない。「記憶にない」という非常に意味深な言い方ですが。そして「首相案件」ということは言っていないということですから、もう少し事実関係をしっかりと煮詰めないといけない。あまり決めつけもいけないし、本来であればやはり証人として来ていただいて、きちんと証言させるというのが本来ではないかと思います。もう少し状況証拠を、知事の会見も含めて、集めないといけないのかなと思っています。

【NHK・稲田記者】
 加計だが、しばらく森友にスポットが当たっていて、今回また出てきたが、これだけさまざまな省庁の公文書の問題があった上で加計でこういうのが出てきたことが、今の政権に与えるインパクトをどう見ていらっしゃるか。
 それから国会も、予算委員会は基本的には終わっているが、これからどういうふうに野党としてこの問題に向き合って攻めていこうとお考えか。
 また、総理はどういった対処をすべきかを改めて伺いたい。

【「無所属の会」代表】
 いろいろ一度に言われるとなかなかお答えも難しいのですが、今回はこれは県の文書とされているわけです。それが本物かどうかというのは、まず知事がどう言われるかというのを踏まえないといけないと思います。
 本物だということになったときも、文科省のときのことを思い出すのですが、「それは県がそういうふうに受けとめたのかもしれないが」というような言い方で逃げられてしまいかねないので、そこはしっかりと証人喚問などで詰めないといけない。
 しかし、有力な手がかりが一つ出てきたということだと思います。これが本物であれば、ですね。
 予算委員会、終わりました。どこで議論するのかと。これは野党間で、国対委員長でご議論いただくことだと思います。きょう私が平野博文国対委員長に申し上げたのは、やはり特別委員会を設けて、そこでこの文書の問題を集中的に議論することが必要ではないかと。それを横断的に、関係のある問題ですから、加計も森友も防衛省も含めて、公文書のあり方、その背景にあるそれぞれの事案の事実関係の解明について、必要があれば総理にも出てきてもらえるような、そういう形の特別委員会を設置することが一つの方向性ではないかと思います。
 ただ、これは6党で、野党間で協議することですので、これ以上のことは私は申し上げないほうがいいと思います。

【NHK・稲田記者】
 証人喚問は、具体的にどなたを。

【「無所属の会」代表】
 これも6党間で協議することです。順番をどうつけるかというのはあると思いますので、あまり私が自分の感想を言わないほうがいいのではないかとは思います。
 今回のこの加計の文書が出てきたことによって、柳瀬さんというのはかなり、証人として呼ばなければならない重要な一人になっていると思いますが、順番をどうつけるかというのはこれからの野党間の協議だと思います。

○財政再建について

【「フランス10」・及川記者】
 財政再建について伺いたい。今、国債が1000兆円を超えているが、そのうち日銀が400兆円を所有しているので借金が減っているという見方もできると思うが、岡田代表は財政再建についてはどのようなスタンスか。

【「無所属の会」代表】
 日銀も政府の一部だから日銀が持っている分というのは借金に数えないんだという、そういうことを言っている人がいることは事実です。総理の周りにもそういう方がいらっしゃる。
 しかし、日銀とはいえ、その国債は政府は返さなければいけないわけですから。結局、日銀が抱えているものを、政府がその国債分について償還しなくていいというのは、これ日銀引き受けと同じということになるのではないでしょうか。

○新党結党について(1)

【共同通信・小野塚記者】
 新党について伺いたい。きのうから新党協議会の打ち出しがあり、今後、綱領などを両党間で考えていくと。こうした具体的な新党の議論が始まっていくが、どういった形で進めていくべきとお考えか。

【「無所属の会」代表】
 これは執行部というか代表や幹事長が中心にやっておられて、私には新党協議会のメンバーとしての声がかかっておりませんので。
 とはいえ、やはりこれは党がある意味ではなくなる話ですので、この前、方向性については一応両院議員総会でも確認されたわけですが、具体的なことはこれからという上での確認ですから、今後のスケジュール感も含めて、きょうも執行役員会がありますので聞いてみようと思います。先ほど「無所属の会」の総会でも、「全体のスケジュール感を明らかにしてもらいたい」という声も出ていましたので、きょう早速確認したいと思います。
 連休中とかいうことになれば、これは最終的には、常任幹事会もおそらく1回では終わらないだろうと思うのですが、常任幹事会、それから両院議員総会、おそらく地方も含めた全国幹事会なども開かなければいけないということですから、いつごろやるのかというのが明らかになっていないと、私などもゴールデンウィークの後半は日中議連で中国に3日間か4日間行くことになっていますが、そういう日程をどうするのかとか、そういうことも含めて調整が必要です。皆さんそうだと思うのです、海外に行かれる方もいるし、地元で張りついて回られる方もいらっしゃるわけですから。あまり突然に言われると困ってしまうことになると思います。

【共同通信・小野塚記者】
 重ねてだが、これまで岡田さんは新党への参加については明言されていないが、現状で新党への参加、または参加しないでどうするとか、今の考えをお聞きしたい。

【「無所属の会」代表】
 決まれば申し上げます。それ以上のことは申し上げません、今は。

○日報問題・イラク戦争検証について

【フリーランス・堀田記者】
 イラクの日報関係だが、イラク戦争の検証が、ジョージ・ブッシュ・ジュニアにしろトニー・ブレアにしろ、ものすごい枚数になっている。国連ですら、「あれは間違った戦争だ」と言っている。日本は、岡田さんも外相経験者だが、たった7ページだ。いまだに小泉さんは、「大量破壊兵器はあるんだ。一緒に探してくれないか」と私なんかにも言っている。

【「無所属の会」代表】
 そうなんですか。(笑い)

【フリーランス・堀田記者】
 これ日報にどういうことが書かれているかわからないが、岡田さんもびっくりした中には、要するに空自が米軍を運んでいる。これは戦争そのものだ。だから証人として、それから日本をこれからよくするために、小泉さんを呼ぶということはどうか。

【「無所属の会」代表】
 小泉さんを呼ぶというのはちょっと飛躍した話だと思いますが、まず空自の日報は、私は最も関心を示してきたものです。今の委員会審議の中でも。
 陸自はいわば、今の安保法でいうと後方支援にまでならない、そういう、生活を支えるような活動。空自のほうはかなり後方支援に近いというか、そのものではないかと、私はあの法律の議論をしているときからそういうふうに申し上げてきました。
 バグダッド空港は非戦闘地域であると。でもバグダッド空港を一歩出ると、そこは戦闘地域であると。こういうたてつけの中で空港と他国を結んで運んでいた、あるいはバクダッド空港からイラクのほかの空港に運んでいた。その中には、もちろん米兵も含まれている。武装した米兵とか武器とか運んでいれば、これはもう「武力行使と一体的な行動」だと言われても仕方がない。
 したがって、その辺の実態がどうなっているか、これを明らかにすることが重要だと私は思います。まだ、空自の日報も全体が出てくる可能性はあると思います。そのことをぜひ期待したいと思います。結局、法律をつくったものの、実際の運用がそれとはかけ離れたものになっているということが明らかになるかもしれません。
 最近、カンボジアなどのPKOについて、かなり大変な状況にあったということが、その後のメディアの、ディレクターのご努力で明らかになってきたわけですが、やはり実際どうだったのかということをしっかり踏まえて、その上で法律をつくっていかないと、結局そこに乖離があるということではこれは法治主義ではありませんから。
 自衛隊の皆さんも、法律が想定したそれをはるかに上回るリスクの中で行動するということになると、それは国会として責任を果たしたことになりませんので、まず事実をしっかり明らかにすることが大事だと思っています。その上で、実態に法律を合わせていくのか、あるいは、あまり実効性はないかもしれないけれども法律の範囲でしかやらないことにするのか。いずれにしろそこに乖離があるのは望ましくないと思います。
 イラク戦争の検証、特にスタートのところについては、私も非常に関心を持ってまいりました。小泉さんがこれを「支持する」と本会議で言われたときに、私は幹事長として本会議質問に立って、「大量破壊兵器はないかもしれない」ということを申し上げたところ、本会議場で失笑というか笑いが広がったのですね。よく覚えています。もう絶対にあるという前提のもとで小泉さんは「支持する」と言われました。
 その後、与党時代に調査を、検証する必要があるということを私は外務大臣のときに申し上げたわけですが、物事はタイミングもあるということで、私が外務大臣のときには実際の検証作業には着手しておりません。あまりにもいろいろなことがあり過ぎて、そこまで手が回らなかったということです。
 玄葉光一郎大臣のときに外務省が検証をやって、紙を閣議にかけるということで、副総理でした私のところに持ってまいりました。私は中身を見て、これは不十分だから閣議にかけることは認めないと。外務省が勝手に発表することは、そこまでは「ノー」と言わないが、野田内閣の正式にクリアした、認めた検証とするにはあまりにも内容が乏しい。特に外務省の外のこと、官邸のことがほとんど触れられていないし、外務大臣(の関与に関して)も、私は要約版ではなくて本体を見ていますが、当時は川口外務大臣ですが、川口外務大臣の関与も明らかにされていない。そういう代物でしたので、閣議にかけることはまかりならないと、私はそういうふうに申し上げたところです。
 もう少し時間を置いて本格的な検証ということが必要になるのではないか。残念ながらまだ現職の方もいらっしゃる。例えば、谷内さんは当時の関係者の一人です。まだ政府の中におられます。そうするとなかなか外務省でも、第三者でも置かない限りは、本当のことは深くはできないのではないかと思います。したがって、多少の時間をかけながらやっていくということで、質の高い、後世「なぜ、あそこで」ということがきちんと判断できるような、反省できるような、そういうものができ上がるのだと思っています。

○新党結党について(2)

【テレビ朝日・村上記者】
 民進党の杉尾議員が先ほど離党届を提出し、近く立憲民主党に入党を希望している。新党協議会立ち上げ翌日のこういった動きを、党の常任顧問としてどのようにごらんになっているか。

【「無所属の会」代表】
 非常に残念です。新党協議、これから始まるところですので。
 ただ、杉尾さんは前々からそういう意向を漏らしておられました。最後は、こういう問題は一人ひとりの政治家の判断。党を離れるとか離れないということは、最後は政治家の判断だと私は思いますので、残念という以上のことは申し上げられません。

【テレビ朝日・村上記者】
 「残念だ」とおっしゃったが、政権交代を目指す固まりとして新党協議会が立ち上がったわけだが、早くも離党者が出た現状だ。岡田さんはどのような形で政権交代を目指すべきだとお考えか。

【「無所属の会」代表】
 最終形は「大きな固まり」なのですね。「大きな固まり」というのは基本的に、かつて民進党で野党第1党を構成していたわけですが、そこのメンバーのかなりの部分が結集するという、それが「大きな固まり」だと思っています。そこに至る道が幾つかあって、あくまでも三つ一緒にと考える私のような考え方と、今の執行部はまずは希望と民進がとお考えだということで、その違いがあるということは私は前から申し上げていますが、党としての方向性を決めたときに、あまりこれ以上のことは言わないほうがいいと私は思います。党として決めた以上は、そのことは、私自身がどうするかということは別にして、手続は踏んでおられるわけですし、そういう新党の試みが成功されることを私としては祈っているということです。

○米国によるシリアへの軍事行動の可能性について

【「フランス10」・及川記者】
 シリア政府が塩素ガスを使ったということで、トランプ大統領が、48時間以内に重大な決断をするとおっしゃっている。もし人道的介入というか、「価値の戦争」というか、人道を理由にして攻撃した場合、日本はそれを支持すべきだとお考えかどうか伺いたい。

【「無所属の会」代表】
 二つの問題があるわけです。
 一つは、本当にそれを使ったのがシリア政府なのかという問題です。前回のときは、状況証拠はシリア政府がと思われるものの、ロシアの対応もあって、最終結論はまだ出ていないと思います。そういう段階で決めつけていいかという問題が一つ。
 それからもう一つは、仮にそうであったとしても、国連安保理の決議がないときに、いわば単独で攻撃していいのかと。人道上の理由ということで、アメリカの自衛権の行使とは言えないと思うのですね。コソボのときから議論がある、人道上の問題があれば自国の安全には直接関係なくともそれに対して制裁を加えることができるという、これはなかなかはっきりと言い切れない、成熟した概念ではないと思うのです。そういう二つの問題があるということです。
 そういう問題があるということもあったと思いますが、日本政府は前回は、アメリカの決断を「支持」する、行動については「理解」する、そういう使い分けをされたと思うのです。それはそういったことがあったからでしょうが、ただ、「支持」するということをアメリカに向かっては言い、国内的には、決断は「支持」するんだけれども、行動については「指示」とまでは言っていないのです。「理解」という言い方。そういうふうに使い分けられたと思うのです。それはある意味ではごまかし。アメリカを向いて言っているのと国内向けで言っているのとで非常に便利な使い分けをしているということなので、今回はそういうことのないようにしてもらいたいと思います。

○新党結党について(3)

【朝日新聞・山岸記者】
 「大きな固まり」をつくっていくということだったが、それに際しては、もちろん政策理念も大事ではあるが、トップの求心力や、あるいは政治家同士の人間関係も極めて大事になってくる。そういった中で、民進党や前身の民主党も含めて、「脱〇〇」とか「〇〇降ろし」とか、どちらかというと遠心力のほうが目立つ場面が多かったように記憶している。そういった中で、これから求心力を出していくために、リーダー論というか、どういったリーダーが望ましいか。どういった人であればまとめていけるのか。極論すれば、岡田代表は誰だったら総理候補に担ぎ上げたいと思うか。求められるリーダー、どういった方を期待したいか伺いたい。

【「無所属の会」代表】
 今、この新党をつくろうとしているときですから、あまり言わないほうがいいと。私の思いはあるのですが、かつて申し上げたこともありますが、それを言うと何か新党に水を差しているみたいに受けとめられても困りますから、申し上げることはありません。
 ただ、ずっとやってきてつくづく思うのは、リーダーシップ論ではなくて、やはりフォロワーシップ論というか、例えば蓮舫さんが代表になっても、すぐ足を引っ張るような、そういう行動が目立ちましたよね。彼女は1年でやめてしまったということです。それではやはり全体としての力を発揮できないので、選んだ代表は、その党にいる限りは、みんなでしっかりともり立てていくことができない限りは、政権は近づいてこないと私は思います。